COMMENT
ここまでの監督作品をあらためて観て、
その確かな技量と果てしない才能に息をのむばかりだ。
そう遠くない将来、彼女が日本映画の宙空に描き出すのは、
どれほど鮮やかな光跡だろう?
ーー門間雄介(編集者/ライター)
竹内監督の映画を最近何本か観ました。
映画を始めたての僕は、「こんな風に会話を撮れば面白いのか!」とか「ちょっとしたシーンでも演出と撮影でこんなに緊張感を出せるのか!」とか、そんな素人くさい感動を感じました。この人をライバルだと思ってやっていけば、まあ間違いなかろうと思ったのです。なので、今彼女のことはライバルだと思って見ていますし、今回の上映も、そういうつもりで観に行きます。生意気を言ってすみません。でも楽しみでなりません。
ーー玉田真也(玉田企画)
竹内里紗の眼光は鋭い
その目はどこまでも見渡して誰も彼も見逃さない目だけれど
わたしたちを突き刺したりするのではなく
暖かい光のサーチライトが夜空をぴかぴかに照らすみたいに
暗がりでひとり泣いている誰かのことを
必ず見つけだす
そんな優しい鋭い目なのである
ーー清原惟(映画監督)
『みつこと宇宙こぶ』
彼女は驚くべき執着で何でも破壊してまわる。おそらく表面を砕いてその中身を確かめたいのだろう。それが大人になるための通過儀礼なのか、それとも子供の領域だけに許された遊戯なのかはわからない。しかし一途に突き進む彼女の身のこなしは有無を言わせぬ感動を呼ぶ。
ーー黒沢清
『みつこと宇宙こぶ』
俳優のユニークさを捉え、その身体を生かしながら、一方的な操作に陥らぬよう、共働者として光子を演じる俳優に映画作りに参画させているように思える。こぶは光子の言うように宇宙そのものであって、その妄想を生きる狂気が、世界を息づかせるのだ。
ーー諏訪敦彦
『みちていく』
中心もなく輪郭もない存在が、その震えによってかろうじて存在を露わにする。いや、震えこそがもはや存在なのか。思春期特有のどうしようもなさ、遠さ、かけがえのなさ、はかなさ。言葉にしたらすべてがウソとなるその震えを、本作は見事なまでに画面に浮かび上がらせている。
――塩田明彦
『みちていく』
せせらぎに紙片が舞い落ち、それが裂かれたノートと気づくとき、思わず山中貞雄と呟いた。本作は祝福されている、映画の宇宙に。
――青山真治
『みちていく』
月の満ちる間、生の痕跡を求める過渡期の衝動が、名と姓がすれ違いを演じる物語を通じ、魂の交感=交換に結晶する。その独創性に驚嘆した。
――筒井武文
『みちていく』
ちいさな擦りキズのような出来事が、わたしを揺り動かす。あなたを、せかいをどうやってつなぎとめればいいのかわからないまま、すべては変わってゆき、もうもとには戻らない。目に見えるものは何も変わらないのに、でも何かがイメージをみたしてゆく……それは何?それが映画=パッションなのだ。
ーー諏訪敦彦
『みちていく』
「消えて欲しくないから来たんだよ」という主人公のラストの台詞が心をつき刺す。
まさか学生の卒業制作作品で涙するとは思ってもいなかった。不覚なり。
ーー万田邦敏